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てぃーだブログ › 動物と暮らす・こにし動物病院 › 病気の説明 › ネコの中毒症

2011年07月25日

ネコの中毒症

今回はネコの中毒症についてお話しします。

ネコの体は他の哺乳類と異なり、
薬や毒物を分解して体の外へ出す働き(これを代謝といいます)に必要な酵素を一部持っていないという特徴があります。
そのため、体の中に取り込まれた物が長く留まり、薬の副作用や毒物の作用が強く出やすいです。
また、腎臓の構造も異なっています。
私たちは体にとって不要なものの多くを尿から出していますが、ネコではなかなかそれができません。

これらの理由により、私たちが何気なく使用している薬剤もネコでは危険な事があります。

代表的な中毒を幾つかご説明します。

◯アセトアミノフェン中毒
アセトアミノフェンはヒトでは安全性の高い解熱剤として、多くの風邪薬や熱冷ましに含まれています。
しかし、ネコやイヌではこの薬を分解する能力が低く
薬物中毒に陥りやすいです。
ヒトでは子供で100~450mg、大人で500~1000mgの量で使われています。
ネコの中毒量は5kgで約250mgなので、場合によっては子供用の風邪薬を1回飲ませただけで中毒症状が出る可能性があります。

症状
吐き気、呼吸困難、低酸素症(チアノーゼ)が起こります。重度では昏睡、痙攣がおこります。

この中毒は、くしゃみや鼻水を出しているネコを見て、飼い主さんが「風邪」と判断し風邪薬を飲ませるケースで多発しています。
同じような理由で、痛み止めもネコでは毒性が強いです。
風邪薬、熱冷まし、痛み止めはネコには危険」と覚えてください。

◯ワルファリン中毒
ワルファリンは、血液が固まるのに必要なビタミンKを体から奪い取ることによって、出血を止まらなくさせる薬です。
私たちは体のどこかで絶えず小さな出血と止血を繰り返しています。
止血が上手くできないと全身に出血が起こります。
脳や脊髄などで出血が起こると命に関わります。

ワルファリンが止血を邪魔する働きを利用して、ネズミの駆除剤に用いられています。
殺鼠剤を食べたネズミは全身から出血を起こし衰弱死します。
このネズミをネコが捕まえて食べると、ネコも中毒を起こしてしまいます。

症状
下痢、吐き気がおこります。
歯ぐきや鼻の粘膜から出血して顔や体が血だらけになることもあります。
お腹の毛を分けると内出血をおこしている場合もあります。

倉庫や納屋、散歩道の畑で殺鼠剤を使用しているときに事故が起こりやすいです。
殺鼠剤にはネズミが食べてくれるよう、おいしい匂いがついてますので直接食べてしまうこともあります。

◯メタアルデヒド中毒
ナメクジの駆除剤に含まれています。
この薬剤は体の中に入ると体液が酸性になってしまいます。
体の細胞が活動するのに最適なのは弱酸性~中性で、体はそれを一生懸命調節しています。
酸性に傾きすぎると細胞(特に脳細胞)がダメージを受けます。

症状
吐き気、下痢、痙攣発作、昏睡、呼吸停止など

駆除剤自体には誤食を避けるため、苦い味が付いていると言われています。
この中毒は、たいてい美味しそうなものに降りかけられていたり、食べ物の中に埋め込まれていたりします。
つまり、心ないヒトのイタズラや、動物嫌いなヒトが周りの動物を殺すために仕掛けた毒であることが多いです。
ニュースでイヌの毒殺が報道されることがあります。
その時「散歩中にイヌが青い粉がついた天ぷらを食べた後・・・」と続けば、メタアルデヒド中毒の可能性が高いです。

今回取り上げた薬物の中には意外と身近にあるかもしれません。
お薬や農薬などは、子供さんや動物が誤って口にしないよう気をつけてください。

「家の守り神ごっご中です。」 どっちがシーサーっぽい?
ネコの中毒症



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Posted by こにし動物病院・夫婦 at 12:13│Comments(2)病気の説明
この記事へのコメント
こんばんわ(^o^)/

現在、2匹の愛猫のママです☆

いつも楽しく拝見させて頂いております

私は幼少の頃、飼っていた猫を中毒のような症状で亡くすといった辛い経験があります

その頃はまだ、放し飼いをしてる方も多く動物に対する知識も低くかったと思います。

以後、心無い人の悪質な行為や事故などによる危険を極力、避ける為に動物を飼う場合は室内飼いをしてきました。

食品による中毒などには気をつけてきましたが、過去に一度人間用のビタミン剤を少量与えた事があります。今日のブログを読んで少量なら大丈夫と安易な考えは危険だと再認識させられました!

今回もためになるお話有難うございます。
Posted by まーちゃんママ at 2011年07月25日 23:01
まーちゃんママ様
ありがとうございます。
小さな命を失うのは辛いですね。
ブログで動物がヒトと同じところと異なるところが上手く伝わっていますでしょうか?、
動物と一緒に暮らすために必要な情報と医療、癒しの提供が当院の目標です。
病院にも遊びにいらしてください。
ありがとうございます。
Posted by こにし動物病院・夫婦 at 2011年07月26日 10:24
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