ネコのカリシウイルス感染症
最近寒くなって、仔猫のクシャミ・鼻水・目ヤニといった症状で来院される方が増えてきました。
今回はそのような症状の原因の一つである、
カリシウイルス感染症についてお話しします。
病因
カリシウイルスというウイルスが猫の気道の粘膜に感染して、風邪の様な症状を引き起こします。
ウイルスは持っている遺伝子が変化しやすく、インフルエンザのA型・B型の様にいろいろな型が存在します。
その為、稀にですがワクチンが効きにくいタイプが出現したり、死に至るような強毒型が広まったりします。
増殖したウイルスは感染した猫の鼻水や唾液、涙に出てきますので、グルーミング等で他の猫に伝染します。
また、
ヒトの手や靴を介して広まっていく猫の病気としても知られています。
症状
感染すると2・3日で元気・食欲が落ち、発熱、クシャミ、鼻水、目ヤニ等があらわれます。これらの症状は以前お話ししたウイルス性鼻気管炎と同じ症状です。
ウイルスはいろいろなタイプがあるのでそれ以外にも関節炎・口内炎・下痢・肝炎・腎炎・流産・脳炎・・・等様々な症状が現れる可能性があります。
治療
ウイルスに対して特効薬はありません。
体の免疫力をあげる免疫療法、二次的な感染症を抑える抗菌剤を使用します。
体力の消耗が病気を悪化させる原因となるので、保温・流動食の投与、目ヤニや鼻水を取り除く等の看護が大切です。
予防
予防注射によってこの病気は予防可能です。ウイルスのタイプによっては完全な予防ができないこともありますが、症状を軽減することができます。
他の猫と交流がない室内猫であってもヒトを介して発症する症例は実際に見られるので、
室内飼育の猫でもワクチン接種は必要です。
その他
このウイルスは
ヒトを介して伝染します。
1990年代にアメリカで致死率が40%という劇症型のカリシウイルス感染症が発生し、多くの猫が亡くなる事件がおこりました。調査の結果、このウイルスは保護された1匹の猫の体で変異したウイルスと判明し、保護団体のボランティアや新しい飼い主さんから他の猫へ伝染り、その猫達を触ったヒトから更に他の猫へと広まって行きました。車や飛行機によって、ウイルスは急速に広がっていったと考えられています。
このウイルスは通常の
石鹸・洗剤やアルコールでは消毒されません。病気が疑われる場合は
次亜塩素酸(漂白剤)を用いて食器やキャリー等を消毒します。
手はよく洗ってウイルスを洗い流した後に消毒します。
「注射の後のご褒美はポテトより猫缶の方がいいなー」
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