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てぃーだブログ › 動物と暮らす・こにし動物病院 › 病気の説明 › リンパ節の腫大

2011年07月27日

リンパ節の腫大

今回はリンパ節のお話をします。

リンパ節は免疫に関係する器官で、体中に存在します。
耳の後ろ、顎の下、脇、内股、膝の後ろなどが触れるリンパ節です。

リンパ節では病原体や異物が全身に広がらないように
リンパ管を通るリンパ液のチェックが行われています。
また、感染症などの緊急事態にすぐ対処できるようにリンパ球が集まって待機しています。
江戸時代の「関所」や国境の検問所のようですね。

例えば、手を怪我して化膿するとリンパ液に病原体が侵入します。
病原菌が脇の下にあるリンパ節に達すると、まずリンパ節にある網(ネット)で菌を捕まえます。
そして待機していたリンパ球が一斉に攻撃します。
リンパ球の増殖時はリンパ節は一時的に大きくなります。
手を怪我すると脇にグリグリが出来るのはこの為です。

手なら脇のリンパ節、足なら膝や内股のリンパ節、歯なら顎下リンパ節・・・など、腫れているリンパ節の部位によって問題が起きている部位が推定できます。
問題点を見つけて、適切な治療(免疫系の手伝いをする治療)を行えば、症状は快方に向かい、リンパ節も元の大きさに戻ります。

問題は複数のリンパ節が腫れていたり、全身のリンパ節が腫れている場合です。
この時、2つの事が考えられます。

一つは複数の箇所に感染がある場合です。
この場合は先程と同じような治療で改善が見込まれます。

もう一つはリンパ腫という悪性腫瘍の場合です。

爆弾病因爆弾
ネコのリンパ腫の7割は白血病ウイルスやネコエイズウイルス感染によるものと考えられています。
イヌの病因ははっきりとはしていませんが、ボクサーやゴールデン・レトリバー、コッカー・スパニエル等、特定の品種で多くみられる傾向があるので、遺伝が関係していると考えられます。

症状
元気消失、食欲不振、体重の減少、リンパ節の腫大が起こります。
リンパ腫はリンパ節だけでなく、体のどこにでも出来て様々な症状を引き起こします。
症状の発現によって、多中心型・胸腺型・消化器型・皮膚型に分類します。

虫眼鏡診断虫眼鏡
大きくなったリンパ節に針をさしてリンパ球をみます。
感染症なら白血球や炎症性の細胞など、色々な細胞が見られますが、リンパ腫では異常なリンパ球が細胞の殆どを占めます。
その他、レントゲン検査や超音波検査で見えない所のリンパ節や臓器に病変がないかを調べます。
血液検査で血液中のリンパ球をみたり、全身状態を把握したりします。
ネコではエイズウイルス・白血病ウイルスの感染も確認する必要があります。

カプセル治療カプセル
腫瘍を可能な限り小さくして症状を和らげる、良い状態を維持して生活の質(クオリティ・オブ・ライフ)を高めることを目標とします。
リンパ腫は抗腫瘍剤(抗ガン剤)の反応が比較的良い事、全身の病気であることから
手術ではなく抗腫瘍剤を用いて症状を和らげます。
抗腫瘍剤は多くの種類・使い方があります。
その子の症状・全身状態だけでなく、飲み薬にするか・注射にするか、どれくらいのペースで通院できるか、飼い主さんはどこまで看護できるか、費用の問題など多くのことを飼い主さんと相談して治療法を決めていきます。

抗腫瘍剤は下痢・嘔吐・貧血など副作用が強く現れやすい薬です。

いくら効果が高いと言われている治療法でも、受ける子に副作用が強く出て、かえって苦しむのなら治療の意味がありません。
飼い主さんにできるだけ多くの事をお伝えして、症状や副作用といった苦痛は可能な限り取り除きつつ、
飼い主さんの負担や苦痛も減らし、ご希望に可能な限りお答えすることで
最終的に「治療して良かったね」と思っていただけるような「良い加減」の治療を目標にしています。





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Posted by こにし動物病院・夫婦 at 23:00│Comments(0)病気の説明
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