2011年11月15日
イヌの甲状腺機能低下症
今回は高齢のイヌで多く見られる
甲状腺機能低下症
についてお話しします。
甲状腺とは動物の喉の近くにある器官で
甲状腺ホルモンの量を調節しながら放出しています。
甲状腺ホルモンは体中の細胞に働きかけて
代謝(エネルギーを作る化学反応)を調節します。
ヒトの女性に多い甲状腺ホルモンが過剰に放出される病気(バセドウ病等)では血圧や心拍数が上がったり
汗をかきやすくなる・手の震え等の症状が現れます。
逆に甲状腺のホルモン放出が少なくなると、体中の細胞がうまく働かなくなり様々な症状が現れます。
病因
甲状腺が何らかの原因で適正なホルモンの量を放出できなくなることが原因でおこります。
生まれつき甲状腺がうまく働かない場合もありますが非常に稀です。
この病気のほとんどは高齢のイヌで見られます。ゴールデン・レトリバーやドーベルマンなど、特定の犬種では2歳くらいから出てくることがあります。
甲状腺が働かなくなってくる原因はよく判っていませんが、自己免疫疾患(自分を病気から守る仕組みが、間違って自分の細胞を攻撃すること)による甲状腺炎・甲状腺萎縮がおこると言われています。純血種で若いうちから見られるので、遺伝ものも考えられます。
症状
甲状腺ホルモンは全身の細胞に働きかけるので、実に多くの症状があらわれます。全てが見られるわけではないので病気の判定には注意が必要です。
1,基礎代謝の低下
全身の代謝が落ちるので、活力・気力が落ちてきます。体温が低くなり、寒さに弱くなります。これらは「もう歳だからねー」で見過ごされているものもあると思います。
また、必要なカロリーが減るので肥満の傾向が見られます。食事を減らしても体重が落ちない子もいます。
2,皮膚の病気
正常な皮膚や毛根の細胞は新陳代謝が活発で、細胞の入れ替わりが激しいところです。代謝が落ちることで脱毛や皮膚の病気が増えてきます。
毛根が痩せてくると毛を引っ張っただけで抜けてしまいます。尾や首、胸など動く所、こすれ合う所での脱毛が目立ちます。特に尻尾の脱毛は特徴的で、ねずみのしっぽの様になります。
3,神経の異常
歩く時に足をしっかりと前に運べず、引きずって歩くようになります。急に目が回って立てなくなることや発作を起こすこともあります。
4,その他の症状
心臓の拍動が遅くなる
子宮の病気になる・妊娠しなくなる・乳腺がはってくる
貧血 などをおこす場合もあります。
診断
血液検査を行ないます。甲状腺ホルモンの量を測ることで甲状腺の状態が判ります。
治療
この病気は甲状腺のホルモンの分泌量が減っているので、ホルモンを補充して上げる必要があります。
お薬は生涯与える必要があります。
ホルモンの量が多くなりすぎると甲状腺機能亢進症になってしまうので定期的に甲状腺ホルモンを測定します。
その他
治療に反応してくれれば1週間目くらいで元気が戻り、体温の上昇が見られるなどといった代謝の改善があらわれます。皮膚の改善には数ヶ月かかります。
この病気は全身に影響を及ぼすので、いろいろな症状が出てもこの病気に特徴的!というものは有りません。多くの病気を慎重に除外していく必要があります。
◯動物スタッフの「はな」も甲状腺機能低下症です。治療前は毛が薄く、心拍数もかなり遅い状態でしたが、甲状腺ホルモンを毎日飲むことで元気に過ごしています。
「今はフッサフサだよーん」
「どう?可愛いでしょ。お薬飲んで毎日ハッピーです」
甲状腺機能低下症
についてお話しします。
甲状腺とは動物の喉の近くにある器官で
甲状腺ホルモンの量を調節しながら放出しています。
甲状腺ホルモンは体中の細胞に働きかけて
代謝(エネルギーを作る化学反応)を調節します。
ヒトの女性に多い甲状腺ホルモンが過剰に放出される病気(バセドウ病等)では血圧や心拍数が上がったり
汗をかきやすくなる・手の震え等の症状が現れます。
逆に甲状腺のホルモン放出が少なくなると、体中の細胞がうまく働かなくなり様々な症状が現れます。
病因
甲状腺が何らかの原因で適正なホルモンの量を放出できなくなることが原因でおこります。
生まれつき甲状腺がうまく働かない場合もありますが非常に稀です。
この病気のほとんどは高齢のイヌで見られます。ゴールデン・レトリバーやドーベルマンなど、特定の犬種では2歳くらいから出てくることがあります。
甲状腺が働かなくなってくる原因はよく判っていませんが、自己免疫疾患(自分を病気から守る仕組みが、間違って自分の細胞を攻撃すること)による甲状腺炎・甲状腺萎縮がおこると言われています。純血種で若いうちから見られるので、遺伝ものも考えられます。
症状
甲状腺ホルモンは全身の細胞に働きかけるので、実に多くの症状があらわれます。全てが見られるわけではないので病気の判定には注意が必要です。
1,基礎代謝の低下
全身の代謝が落ちるので、活力・気力が落ちてきます。体温が低くなり、寒さに弱くなります。これらは「もう歳だからねー」で見過ごされているものもあると思います。
また、必要なカロリーが減るので肥満の傾向が見られます。食事を減らしても体重が落ちない子もいます。
2,皮膚の病気
正常な皮膚や毛根の細胞は新陳代謝が活発で、細胞の入れ替わりが激しいところです。代謝が落ちることで脱毛や皮膚の病気が増えてきます。
毛根が痩せてくると毛を引っ張っただけで抜けてしまいます。尾や首、胸など動く所、こすれ合う所での脱毛が目立ちます。特に尻尾の脱毛は特徴的で、ねずみのしっぽの様になります。
3,神経の異常
歩く時に足をしっかりと前に運べず、引きずって歩くようになります。急に目が回って立てなくなることや発作を起こすこともあります。
4,その他の症状
心臓の拍動が遅くなる
子宮の病気になる・妊娠しなくなる・乳腺がはってくる
貧血 などをおこす場合もあります。
診断
血液検査を行ないます。甲状腺ホルモンの量を測ることで甲状腺の状態が判ります。
治療
この病気は甲状腺のホルモンの分泌量が減っているので、ホルモンを補充して上げる必要があります。
お薬は生涯与える必要があります。
ホルモンの量が多くなりすぎると甲状腺機能亢進症になってしまうので定期的に甲状腺ホルモンを測定します。
その他
治療に反応してくれれば1週間目くらいで元気が戻り、体温の上昇が見られるなどといった代謝の改善があらわれます。皮膚の改善には数ヶ月かかります。
この病気は全身に影響を及ぼすので、いろいろな症状が出てもこの病気に特徴的!というものは有りません。多くの病気を慎重に除外していく必要があります。
◯動物スタッフの「はな」も甲状腺機能低下症です。治療前は毛が薄く、心拍数もかなり遅い状態でしたが、甲状腺ホルモンを毎日飲むことで元気に過ごしています。
「今はフッサフサだよーん」
「どう?可愛いでしょ。お薬飲んで毎日ハッピーです」
Posted by こにし動物病院・夫婦 at 22:20│Comments(0)
│イヌの病気
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